日本競馬には芝、ダート、そして障害競走の3種類があります。
近年はオジュウチョウサンの爆発的な人気もあり、注目を集めつつありますが、
「障害レースは馬券を買わない」
というファンの方も多いと思います。
私自身も、いち競馬ファン時代は、ほとんど障害レースを見ることはありませんでした。
しかし競馬記者として働いているうちに、レース後にジョッキーの方たちから聞く話が、勉強になったり楽しかったり、障害試験を間近で見るようになり、障害レースの楽しさを感じるようになりました!
記者として働いたからこその、自分なりの予想法も見つけました!
そこで今回は
「障害レースってよくわからない」
「どうやって予想すればいいの?」
という方に向けて、入門からガチ予想まで完全網羅したページを作ろうと思いました。
障害レースは、普通のレースと違って、ネット上にも情報が少なく、それゆえ
「どう馬券を買っていいかわからない…」
という状況になっているかと思います。
それを解決すべく、障害レース盛り上げ隊!として、当ページが障害レースファンの増加につながれば嬉しく思います!
1.障害レースってどんなレース?
2.クラス分け
3.障害レースの障害物紹介
4.賞金から見た平地と障害レースの違いについて
5.障害レースに出走する馬と、平地に出走する馬の違いについて
6.障害レースで有名な競走馬を紹介!
7.障害レースで有名な騎手を紹介!
8.障害レースの予想法
1.障害レースってどんなレース?
障害レースは、その名の通り、障害物を飛越していくレースになります。
人間の陸上競技で言えば、ハードル競走をイメージするといいかもしれません!
距離は3000~4000mが主流で、一般的な平地レースよりも長いのが特徴です。
コースにもよりますが、障害物は10個程度あります。
目の前で飛越していく迫力は凄まじいので、競馬場に行ったら近くで見ることをオススメします!
障害レースが行われるのは昼休み前の4レースが多く、次いで1レースに組まれることもあります。
毎日全競馬場で障害レースが行われているわけではないので、JRAのHP等で出走表をチェックすると便利です!
※札幌、函館では障害レースは行われていません。
2.クラス分け
平地レースでは
未勝利
→1勝クラス
→2勝クラス
→3勝クラス
→オープン
とクラスが上がっていきますが、障害では、未勝利を勝った後はオープンになります。
障害レースにおいては、未勝利馬かオープン馬か、という2種類しかないのが平地レースとの違いになります。
3.障害レースの障害物紹介
では、実際にどんな障害物を飛んでいるのか見ていきましょう!
障害物にもよりますが、おおよそ高さ1.4m、幅1.5mほどの障害を飛んでいます!
いけ垣
いけ垣障害とは、日常でも道でよく見かける樹木が並んだものです。
密度が濃いので、張りがあって触るとけっこう痛いです!笑
障害レースではよく使用されている障害物で、おおよそ高さ1.4m、幅1.4~2.4m前後となっています。
竹柵
竹ぼうきをひっくり返したような障害物です。
高さ1.3m、幅は1.6m前後です。
中山のGⅠレースなどで使用される大竹柵障害は、高さ1.6m、幅2.05mもあります。
水ごう
いけ垣の奥に水がたまった堀がある障害です。
高さは1.2mですが、幅は4m前後もあるので、かなり遠くへ飛越することが求められます。
調べてみると、陸上競技などでも水ごう障害はあるようで、写真を見ているだけでもタフさが伝わってきます。
グリーンウォール
グリーンウォールは、人工竹柵のことです。
東京、阪神、福島で使用されています。
高さ、幅ともに1.3m前後のものが多いです。
なお、こちらの写真は、東京競馬場内にある競馬博物館のものです。館内には障害物を間近で見られるので、貴重な場所です!
バンケット
坂を上り下りする障害コースです。
こちらは飛越するというよりは、山や谷を上って下っていく障害物です。
高低差2.8m程度の上り下りを、80mほどの距離をかけて上り下りしていきます。
下りで走りのフォームが乱れる馬がいるので、下り坂での走りでバンケット適性を見定めます。
ハードル
ハードル障害は、人の手によって、芝コースに設置される竹柵障害のことです。
そのため「置き障害」と呼ばれることもあります。
福島、新潟、中京では、メインの障害として使用されています。
高さ1.3m、幅1.5~1.8m程度です。
新潟、中京の障害は、全く同じ高さ1.3m、幅1.55mの置き障害なので、似ているコース形態ととらえることができます!
競馬場によって障害の種類や大きさも異なるので、詳細は以下、JRAHPでご確認ください。
福島→https://www.jra.go.jp/facilities/race/fukushima/course/index.html
新潟→https://www.jra.go.jp/facilities/race/niigata/course/index.html
東京→https://www.jra.go.jp/facilities/race/tokyo/course/index.html
中山→https://www.jra.go.jp/facilities/race/nakayama/course/index.html
中京→https://www.jra.go.jp/facilities/race/chukyo/course/index.html
京都→https://www.jra.go.jp/facilities/race/kyoto/course/index.html
阪神→https://www.jra.go.jp/facilities/race/hanshin/course/index.html
小倉→https://www.jra.go.jp/facilities/race/kokura/course/index.html
東京競馬場では、大レースの時に障害コースを開放して観戦することができます!!
目の前で障害物を見ることができる貴重な機会なので、ぜひ!
障害コースからの景色
竹柵障害
グリーンウォール
ダートのレースは目の前で見ることができます!
4.賞金から見た平地と障害レースの違いについて
障害レースの賞金は、平地よりも高いのが特徴です。
未勝利戦でも、
平地は1着賞金500万円に対し
障害は780万円。
オープン戦でも
平地が1150万円に対し
障害は1350万円となっています。
ただし、GⅠは中山グランドジャンプ、中山大障害ともに1着賞金は6600万円で、平地のGⅠが1億円前後あることを考えると低めとなります。
http://www.jra.go.jp/owner/members/prize/
5.障害レースに出走する馬と、平地に出走する馬の違いについて
平地を走るのも障害を走るのも同じサラブレッドなので、馬自体に違いはありません。
個性があるとすれば、平地ではスピードが足りなかった馬(障害レースの方がペースが遅い)が、障害レースに向いていると考えられます。
また精神面も個性として挙げられます。
平地よりもゆったりとしたペースで走るため、おっとりした馬でも結果を出すことができます。
距離も3000~4000mと長く、折り合ってスタミナを残すことが重要になるので、精神的に落ち着きがあり、騎手の指示に従順な馬が有利、というのが障害レースと言えます。
障害レースに出走する馬は、平地でデビューして成績がイマイチあがらず、障害に転向するというパターンがほとんどです。
平地で活躍できなかった馬でも、障害で素質が開花する馬もいます!
平地のレースと障害のレースは、要求される能力が全く違うためだと言えます。
100m走と100mハードル走となると、似てるようで違う競技ですよね!
そのため、飛越の才能がある馬や、上記でも書いたように精神的な落ち着きがある馬が障害で活躍する傾向にあります。
なお競馬ブックの山田理子トラックマンの取材によると、西谷ジョッキーからは
「障害に向くのは芝のマイルで切れる馬か、1800ダートで走っている馬」
というお話も出ています!
西谷J語録「芝のマイル、ダート1800m」(山田理子) – 競馬ブック コラム
6.障害レースで有名な競走馬を紹介!
ここからは、障害競走でその名を馳せた名馬たちをご紹介致します!
障害で活躍した馬のことは「名ジャンパー」などとも呼ぶので、ぜひ覚えておいてください!
オジュウチョウサン
障害界の王者であり、スターホースであるのがオジュウチョウサン!
ぬいぐるみもまさに「飛ぶ」ように売れていますが、障害馬でぬいぐるみになった馬はこの馬が初めてではないかと思います。
有馬記念のファン投票でも3位に選出される人気ぶり!
実際にファン投票のおかげで有馬記念の優先出走権を獲得し、注目を集めました(結果は9着)。
障害レースの実力もピカイチで、障害レースでは13連勝!
しかもそのうちGⅠ勝利は7つ!レコードも3つ記録!
2018年 中山グランドジャンプ
年に2回の障害GⅠ、中山グランドジャンプ、中山大障害をともにレコードで圧勝!
他のライバル馬たちも、なんとかしてオジュウを倒そう!と果敢に挑んできますが、それらを全て振り切っていく強さに、多くのファンは魅了されているのだと思います。
ゴーカイ
2000年、2001年と、2年連続でJRA賞最優秀障害馬のタイトルを獲得!
中山グランドジャンプは2000年、2001年と連覇!
2001年 中山グランドジャンプ
もうひとつの障害GⅠである中山大障害で、勝利を挙げることはできませんでしたが、2002年に2着に敗れたときに勝ったのは弟のユウフヨウホウでした。
皮肉なことでもありますが、一族の障害適性の高さが表われた一戦でした。
引退後は障害馬としては珍しく種牡馬入り!
産駒の中からは、オープンガーデンが阪神スプリングジャンプを制し、障害の重賞ウィナーも輩出しました!
カラジ
オーストラリアから日本の中山グランドジャンプに挑み、2005~2007年に3連覇という偉業を達成した名馬!
それも、JRA賞最優秀障害馬に選出されるテイエムドラゴンや、メルシーエイタイムといった日本の強豪を抑えての勝利でした。
2007年 中山グランドジャンプ
B.スコット騎手の風車ムチも名物となっているので、ぜひ上記のレース動画もご覧ください!
グランドマーチス
歴史上障害馬では、ただ1頭のJRA顕彰馬!
JRA顕彰馬とは、中央競馬の発展に多大な貢献のあった競走馬の功績を讃える制度で、近年ではジェンティルドンナ、オルフェーヴル、ロードカナロア、ウオッカ、ディープインパクトなどが選出されています。
このラインナップを見れば同じく肩を並べるグランドマーチスのすごさがわかるかと思います。
血統的には、祖母ハクレイが中山大障害を勝っていた障害血統で、その血が覚醒したのか、障害レースでは1974~1975年で9連勝を達成しました。
障害馬でありながら、中央競馬初の獲得賞金3億円を突破したことも歴史的な馬である実績のひとつです。
他にもいる!平地GⅠ馬
平地でGⅠを勝った馬も障害で走ることがあります!
2010年に菊花賞を勝ったビッグウィークは、その3年後に障害馬としてデビューし初戦で勝利を挙げました!
2003年にNHKマイルCを制したウインクリューガーも、7歳となって障害デビューし、見事勝利!
1999年に秋華賞馬となったブゼンキャンドルも、その翌年には障害に舞台を映し、4戦目にして障害初勝利を挙げました。
そして、最も特殊な例と言えるのがメジロパーマーです。
平地→障害→平地と舞台を移し、活躍した名馬です。
1991年に障害デビューした後は、
障害未勝利1着
→障害400万下2着
→コーラルS(芝1400m)4着
→天皇賞春(芝3200m)7着
→新潟大賞典(芝2200m)1着
→宝塚記念(芝2200m)1着
と、一度は障害に舞台を移した馬が、平地に戻り見事GⅠ勝利!
それも宝塚記念だけでなく、その年の有馬記念も15番人気1着と大激走!
まさに人知を越えた活躍ぶりを見せた名馬です!
世界の障害レースはもっとすごい!?
イギリスで最も人気があるレースが障害の「グランドナショナル」です。
イギリス国内で最も売り上げがあるレースで、日本の有馬記念の売り上げに匹敵する年もあるほど人気だそうです!
距離は約7000mで障害を飛越する数は30回と、世界一サバイバルなレースと言えるでしょう!
その上40頭近い出走頭数で、ハンデ戦と、馬券はかなり難しいレースでしょう。
過酷な状況下におけるレースのため、完走したのが2頭のみという年もあったそうです。
1967年グランドナショナル
日本馬では1966年にフジノオーが挑戦しましたが、競走中止で完走することはできませんでした。
7.障害レースで有名な騎手を紹介!
障害レースでは調教から騎手が騎乗し、一緒にひとつひとつ課題を乗り越え人馬の絆を深めていきます。
2022年現在、障害レースをメインに乗る騎手の特徴を全てまとめました→ 「障害騎手名鑑!」
8.障害レースの予想法
ここでは障害レースの予想方法について考えてみたいと思います。
最終的には、パトロールビデオ等を見て、飛越力などもチェックするのですが、ここでは主観的な要素は除いて、客観的なデータから、
誰でもすぐに真似できる予想法を中心にまとめました!
平地のレースとは違って
どうやって予想していいかわからない
というファンの方も多いと思いますが、いろんな予想法を知って少しでも障害レースに興味を持っていただけたらと思います!
①騎手
一般的には「馬7人3」と言いますが、障害レースの場合はそれ以上に騎手を重視してもいいかもしれません!
と言うのも、障害馬は普段の調教から主戦騎手が跨がり調教をつけているからです。
ひとつひとつの課題を一緒に乗り越えていく、まさしく人馬一体の姿がここにはあります!
レースでも乗り替わることはほとんどありません。
逆に言えば、お手馬が同じレースに出走した時はどちらかを選ばざるをえないので、
騎手がどちらを選択したか
というのも予想ファクターとなるでしょう。
また、週刊ギャロップや競馬ブックなどに掲載されているレース後のインタビューも参考になることが多いです。
「時計が速いとついていけないから道悪がいいですね。」
「置き障害の方が合ってますよ。」
など、的確に馬券の参考になる情報を話してくれる方が多いです。
②血統
障害レース限定で、種牡馬リーディングを調べてみるとその順位は、
キングカメハメハ
ステイゴールド
ディープインパクト
ハーツクライ
クロフネ
ネオユニヴァース
アドマイヤムーン
シンボリクリスエス
メイショウボーラー
ブラックタイド
となりました。
(データは2015~2021年7月)
頭数が少ないこともあり、上記のリーディングには入りませんでしたが、血統的に活躍しているのはオペラハウスの産駒です。
主な産駒には
障害で11勝を挙げたコウエイトライ
中山グランドジャンプの覇者スプリングゲント
2011,2012年にJRA賞最優秀障害馬を受賞したマジェスティバイオ
などがいます。
障害重賞での成績は、オペラハウス産駒が走っていた2003~2017年の間で18勝し、
単勝回収率186%
複勝回収率125%
もありました。
オペラハウスの直子はもう出てこないので、今後は母父オペラハウスを探したり、後継種牡馬の
メイショウサムソン
テイエムオペラオー
シングンオペラ
の血を探してみるのが有効策かもしれません。
実際にデータを調べてみても
メイショウサムソン産駒 単勝回収率112% 複勝回収率92%
テイエムオペラオー産駒 単勝回収率69% 複勝回収率143%
シングンオペラ産駒 単勝回収率310% 複勝回収率121%
ともに単勝、複勝の回収率が100%を超える活躍を見せています!
他にも障害で儲かる血統などは、「勝手に競馬格言集」でまとめているので、さらに極めたい方はご参照ください。
③距離
平地のレースと同じように、距離適性も重要な予想ファクターです。
未勝利戦のほとんどは3000m前後で行われていますが、重賞などになってくると4000m前後のレースもあります。
クラスごとの実施距離
未勝利
2750~3000m
OP~重賞
2750~4250m
長い距離が得意や苦手、という馬もいるので、距離適性も考慮して予想すると面白いです。
例えば、シゲルロウニンアジという馬は、3200mまでが得意でした。
3290m⑪着→3110m②着(10番人気)
4100m⑨着→3140m②着(8番人気)
3290m⑩着→3110m③着
3390m⑪着→3110m③着(8場人気)
距離を短くしたときに穴をあける!というのが激走パターンでした。
④固定障害と置き障害
障害レースの障害物には2種類あって、それが固定障害と置き障害と呼ばれるものです。
固定障害とは、障害専用のコースがある競馬場で、その名の通り障害物が固定されたコースでレースが行われます。
対して置き障害は、障害物を芝コースの上に持ってきて、レースが終わったら片付けるという障害です。
上の写真は中京競馬場の置き障害です。
一般的に、固定障害の方が、高さや幅が大きく、飛越の難易度は高いとされています。
置き障害は、飛越力よりもスピードが生きやすいので、平地で活躍していた馬などが好走する傾向にあります。
固定障害のコースは東京、中山、京都、阪神、小倉です。
置き障害は新潟、福島(一部固定障害)、中京の3つです。
馬によっては、置き障害では好成績といった馬もいるので、固定障害と置き障害という2種類を考慮して予想するのもオススメです!
例えば、マイブルーヘブンという馬は、置き障害を得意にしていました。
置き障害コースでは、⑦②①④④①①①着
固定障害コースでは、③⑧⑧⑪着
⑤障害数
各コースによって、障害の数は7~17個と、かなりの差があります!
実際に数えて表にしてみました。
(手動で数えたので、間違いがある場合は教えてください!!)
ひとえに障害レースと言っても、コースによって障害数が全く違う、というところがポイントです!
それによって適性も変わってくるということです!
ここからがガチなポイントです。
距離÷障害数
を計算することによって、平均で何メートルあたりに障害が1つあるか、を算出しました。
結論から言えば、表の上にいくほど飛越力が必要になり、下に行くほど飛越力がなくても何とかなるコースです。
一番上の京都3170mは、平均226mに1つ障害があるのに対し、
一番下の福島2770mは、396mに1つしかありません。
これを意識して馬券を買っている人はほとんどいないため、回収率もかなり優秀になるデータです。
例えば、表の赤くなっている障害数の多いコースを走っていた馬が、次走で障害数が少ないコースに出走すれば、全て買っても
単勝回収率101%、複勝回収率87%
になります!
自分の予想法の神髄にもなるので、これ以上多くは言えませんが(笑)
飛越力が問われる表上位のコース好走馬は、高評価するのが予想のポイントです!
⑥最後の直線が芝かダートか
障害レースも最後の直線の攻防が重要で、その上で重視したい点は、芝かダートかです。
平地時代に芝を走っていたか、ダートを走っていたか、に注目してみると得意パターンが見えてくるかもしれません!!
⑦直線の障害数
最後の直線コースに障害物があるかどうか、も予想のポイント。
平地力のある馬は、最後に障害物がなくて末脚を生かせるコースを得意とします。
例えば、ルールプロスパーという馬は、
直線障害なし①①①①①①④⑤⑤着
直線障害あり②④④⑦⑪⑨着
でした。もともと平地でもオープンまで出世していた馬で、やはりこういった
平地の脚力のある馬は、直線に障害がないほうが良いのでは?!
という仮説が浮かびました。
⑧上がり3F
障害レースにおいても「上がり3F」は使えるファクターです!
コースごとの平均上がり3Fという、超絶面倒くさいデータを調べてみました。
例えばディードという馬は、レースの上がり3Fが遅い時に好走する馬でした。
2着→39.5
3着→39.3
4着→36.7
4着→37.9
4着→38.3
2着→40.4
レース上がりが遅いレースばかりで台頭しており、
上がりが39.0秒以上かかるコースなら馬券内にくる!
という読みができました。
このデータを発表した後、ディードは、レース上がりが39.4秒かかったレースで見事1着になりました。
ディード自身は、平地のレースでは5戦未勝利。それも⑨⑬⑪⑦⑬着と大敗ばかりでした。
こういった平地力に欠ける馬こそ、上がりの遅いレースで激走する!と言えます。
⑨襷コースの有無
襷コースとは、コースを斜めに渡る区間です。
この襷区間でポジションを上げることができる馬は、襷コースで好成績を挙げます。
騎手のレース後のコメントでも、
「襷のあるコースの方がいいですね」
というのはよく出現します!
それほど騎手たちも気にかけているポイントになります。
襷があるコースをまとめました。
例えばスズカチャンプという馬は
襷コース①③②③④①⑦⑨着
非襷コース⑪⑧②⑤⑪⑥⑧⑩⑤⑨⑦着
⑩障害レベル
これは完全にオリジナルの秘蔵データです!
詳しい計算方法は長いので割愛しますが、障害数、障害物の特徴、レース距離などを全て考慮し、各障害コースのレベルを数字で表しました!
レベル33~53をハイレベルコースと認定しています。
ハイレベルコースを走っていた馬が、次走レベル15~31のコースに出走すれば、複勝回収率は105%ほどになります!!
つまり、
ハイレベルコースで負けていた馬は、次走で全部買っても儲かる
ということです!
反対に、レベルの低い新潟、福島の好走馬は、過剰に評価しないように注意が必要だということです。
最初に述べた、「固定障害か、置き障害か」という項目でも、「置き障害は障害物が小さくて飛越力レベルは低い」と書きましたが、
実際にこの表でも、下位は置き障害コースの福島と新潟です。
ちなみに、飛越力はあるが平地力がない馬は、表の上部分のハイレベルコースで好走しやすいです。
例えば、メメニシコリという馬は、飛越は巧いのに、いつも平地力が足りなくて勝ち切れない馬でした。
ただ飛越力重視のハイレベルコースでは、非常に魅せてくれる馬でした。
ハイレベルコース【0・2・9・9】
それ以外のコース【0・1・0・17】
飛越が巧い馬は、ハイレベルコース
平地実績があるような馬は、低レベルコース
これが馬別の狙い方だと思います!
⑪初障害馬の取捨
障害レースを予想していると必ず、平地から障害に転向してきた初障害の馬の取捨に頭を悩ますことになります。
結論から言えば、超極端に乱暴に言えば、
初障害馬は全消ししてもOK
だという持論があります。
論より証拠で、データを紹介します。
初障害馬
勝率4.1%、複勝率13.3%
単勝回収率67%、複勝回収率65%
障害経験馬
勝率9.1%、複勝率27.1%
単勝回収率77%、複勝回収率82%
好走率が倍ほど違う上に、回収率にも差があります。
「初障害だからわからない…」
と言って、とりあえず買い目に入れる人が多いため、実力以上に人気になっているとい現状です。
さらに言えば、初障害の馬は、ジョッキーたちも競馬を教えさせたり、試したりすることもあるため、ベストパフォーマンスを発揮できない可能性が高いです。
僕がジョッキーだったら、落馬の多い障害レースで、初障害の馬で果敢に攻めて乗ることは怖くてできません(笑)。
以上のデータから、初障害の馬は、迷ったら消してもOK!
統計的にも消して問題ない!
と言えます。
⑫障害試験のタイム
障害レースに出走するためには、「障害試験」を受験し、合格しないといけません。
8割ほどは一発で合格しますが、なかには2回受ける馬だったり、記憶では6回くらいかけて受験していた馬もいました。
合格基準は、タイム、飛越&着地の巧拙、斜めに飛んでいないかどうか、などです。
それを踏まえた上で、では
「初障害の馬の実力はどう判断すればいいのか?」
という疑問がわいてきます。
それは各競馬新聞などに掲載されている「障害試験のタイム」を参考にするしかありません。
ネットなら、月500円で全レースの調教タイムやレースコメントが見られるサンスポZBAT!競馬 がお勧めです。
個人的にボーダーにしているタイムを紹介します。
美浦:全体時計が110秒前後
栗東:残り5~4F間の1Fタイム
栗東の障害試験は、実際に競馬記者として勤めていたころに、時計を採時していたこともあり、熱を注いで見ていました。
そこで発見したポイントが、
「残り5~4F間の1Fタイム」
でした。
ほとんどの人は、全体時計に注目するのですが、なぜ全体時計ではダメなのか。
全体時計は、平地力のある馬が、障害のない区間で加速しまくって、飛越はヘタなのに好タイムになってしまう、というトリックがあるからです。
特に残り600mは障害物がないため、その区間だけでめちゃくちゃタイムを縮める馬がいるんです!
栗東トレーニングセンターの航空図をもとに、障害試験のコースをまとめてみました。
S→スタート
G→ゴール
オレンジで囲っているのが障害です。青線は2周目のダートコースです。
ご覧の通り、最後の6個目の障害を越えてからは全て平地なので、平地で活躍していた馬は、この区間だけで時計を縮めてきます。
ごまかしが利かないのが、「残り5~4Fの1Fタイム」の区間です。
マップで言うと、④~⑤の区間になります。
この区間は、飛越→加速→飛越、と飛越力のエッセンスが詰まっています。飛越が雑だったり、着地後の加速に手間取っていると、この区間のタイムは遅くなります。
それゆえ、この区間だけ見ていれば、だいたいの障害センスが見えてくるのです!
そこで基準となるタイムは、15.0秒前後です。
15.0秒を切ってくる馬は、センスありと見て注目しています。
トラックマンだった時も、この区間のラップを全てメモしていました!
例えば、障害で4勝を挙げ重賞も制したヨカグラは、この区間で14.6秒をマークしていました。
同じく障害で4勝を挙げたトラストも14.9秒
小倉サマージャンプSを勝って引退してしまったスプリングボックスは14.1秒
グローブシアターは14.3秒
今後出世しそうなエイシンクリックは14.5秒
上記はいち例で、もちろん14秒台でも結果が出なかった馬たちもいます。
ただ、障害試験の構造を理解した上で、試験タイムを見ると、その本質が見えてくると思いますのでご参考に!
特に!!
初障害は、平地で好成績だった馬が人気になりやすいですが、よくこの1F区間ラップを精査してみてください。
障害物がない上がり3Fだけが速い場合は、特に危険なパターンです。
余裕があれば、試験タイムのラスト1Fと、手応えまで見ておくとGOODです。
どれだけ最後まで余力があったかわかるので、
「1F12.5秒 馬なり」
などは評価していいですし、
「1F13.5秒 一杯」
などは、もう苦しかったことがわかります。
⑬ペース(2022年11月追記)
障害レースは、競馬新聞でも「ペース」の表記がありません。
そのため、ハイペースだったのか、スローペースだったのか、ということがわかりにくいです。
そこで!
JRAで発表されている、「1600mの通過タイム」の平均を全て調べました!
実際のタイムと、この平均タイムを見比べることで、ペースを把握することができます!
正直かなり面倒でマニアックなデータです(笑)
コースによっては、100レースものタイムの平均を算出しています。
障害レースのペースはこれで完璧!!?
障害レースにおける予想理論は、まだまだありますが、細かくは格言にしてまとめたりしているので、気になった方は、ぜひ競馬格言集をご覧ください!
試験的にTwitter上でも、週末に障害予想を公開しています!
レース観戦のきっかけになれば幸いです。
元競馬記者の鈴木ショータが作成するオリジナル競馬新聞!勝負馬の紹介だけでなく、好調教馬がすぐにわかる「調教ジャッジ」や指数も掲載!独自の予想理論「33ラップ」やペース指数、レースレベルの掲載など他の新聞にはないコンテンツ盛りだくさんの馬柱!
鈴木ショータの全レース予想はPDF新聞で!!
まとめ
障害レースはまだ売り上げ的に平地のレースより注目度は低いですが、じっくりやりこんでいけばその奥は深いです!
まずは、どんな障害を飛んでいるのか知っていくと、その偉大さがわかると思います。
障害競走のバックヤードツアーなども競馬場で企画されているので、入場が再開した際には、気になる方は参加してみてもいいかもしれません!