今回は「調教時計」の見方について解説致します!
調教コースの内と外では、いったい何秒タイムが変わるのか!?
「内を通った分、時計は速い」
「外を回った分、時計は遅い」
ということはみなわかりますが、では果たして、「何秒の差があるのか!?」
毎日トレセンで調教を見てきた元競馬エイトトラックマン鈴木ショータが、解明します!
何においても数字的な裏付けを重視する性格なのですが、今回は調教のコースタイムについて調べてみました。
調べようと思ったきっかけは、トラックマン時代に毎日膨大な馬たちの調教時計を見ていて、
内と外を通った馬のタイムの差が、かなり大きいのではないか?!
という疑問点から始まりました。
例えば、競馬エイトの紙面上では、栗東CWコースの場合、通った箇所により、1~9の分所(ぶどころ)を表記しています。
1分=最内
9分=大外
で、数字が大きいほど、外を回っていた、ということです。
実際は、ほとんどの馬が、7~9分所を走ります。
ウォーミングアップでゆっくり走る馬は内、時計を出す馬は外、という進路分けのイメージです。
では、内と外で、いったい何秒異なるのか。
以下では、細かい計算をしていきます。
面倒な方は読み飛ばしてください(笑)
栗東トレセンコースが発表している、内・中央・外、をそれぞれ通った場合の距離と照らし合わせると、コース1周の距離は以下のようになります。
最内(1分所)=1800m
中央(5分所)=1857m
大外(9分所)=1913m
大外と最内の差は、1913ー1800=113m
まず、1周走ると、内と外で、113mも距離の差が出ることがわかりました。
これだけでも通った分所によって、大きなタイム差が出ることが直感的にわかるかと思います。
次に、1つのコーナーごとの距離の差を調べます。
距離の差はコーナーでつくので、コーナーを1つターンするごとに、113m÷2(コーナー数)=56.5mの差が出ます
以下の計算では、便宜上、その差は56mと仮定します。
「5F」時計とは、実際9分所を走った場合の距離は、1000m+56m(コーナー1つ分)=1056m、ということになります。
仮にこの距離を68秒0で走ると、1mあたり約0.0644秒で走っていることになります。
これを逆算すれば、最内の1分所(1000m)を走った場合は、同じスピードで走ったとしても、0.064秒×1000m=64秒0で走れる、ということです。
つまり最内の1分所と、大外の9分所では、4秒もの差が生じることになります。
まとめると、以下のようになります。
1分 | 64.0 |
2分 | 64.5 |
3分 | 65.0 |
4分 | 65.5 |
5分 | 66.0 |
6分 | 66.5 |
7分 | 67.0 |
8分 | 67.5 |
9分 | 68.0 |
結論を言えば、分所に1つにつき、0.5秒の差が出ます!!
併せ馬で、8分と9分を回ってきた馬は、一見同じ調教タイムだとしても、9分所を回っていた馬は、-0.5秒分、評価を上げるのが合理的、ということです!
内めを通った馬は、一見好タイムに見えがちですが、この計算を元に、0.5秒/分を足してみることで、本当の調教時計の価値が見えてくると思います。
ぜひ調教欄を見る楽しみとしてご活用ください!
※上記は、一般的な数学の知識のみで概算したものなので、ひとつの参考としてご利用ください。
こういった知識を結集させて開発したのが、調教採点システム!!面倒な計算を全て行い、最終的に点数化しました!