「競馬を始めてみたい!」
「勉強したい!」
「もう少し当たるようになりたい!」
という方へ向けて、競馬の基礎基本、馬券との向き合い方、考え方を伝授する企画です。
「競馬は情報が多すぎて何を見ていいのかわからない…」
という悩みを抱えている人は多いと思います。
しかし「本質」さえつかんでしまえば、少ない知識で多くの応用を利かすことができます!そこで、一度覚えれば一生使える”予想力”をお届けします。
例えるなら、毎週ただただ予想していくのは、足し算や引き算を理解せずにテストに挑もうとしているようなものです。まず基礎基本となる足し算引き算を、じっくり理解していきましょう!
競馬ファン→競馬記者→競馬伝道師を経て、本気で競馬と馬券に向き合ってきた僕が、今までに抱いた疑問、大切だと思ったマインドをお伝えしていきます!
予想力向上講座④
~逃げるが勝ち!?~
競馬で最も有利な戦法は、なんでしょうか?
僕は迷わず「逃げ」と答えます!
数字的にも明らかで、逃げ馬の成績は以下のようになります。
1986年から2021年にいたるまで、実に36年間プラス収支!!
どの年を見ても、逃げ馬は回収率が高い(人気以上に好走している)のです!
つまり、逃げ馬さえ買っていれば、馬券は勝ててしまうんです。
では、なぜ逃げがこんなにも有利なのでしょうか。
競馬における戦法、すなわち脚質は、大まかに分けて4つあります。
- 逃げ→スタートから先頭に立って、そのまま逃げ切る作戦
- 先行→2番手~中団あたりを追走し、最後のゴール前で前の馬を交わす作戦
- 差し→中団で脚をためて、最後に脚を爆発させる作戦
- 追込→後方待機策。直線までじっとしており、最後に一気に追い上げる作戦
この中で、逃げ馬だけは、前にも横にも馬がいない状態です。これこそが、物理的にも、精神的にも有利に働くと思われます。僕が考えてみた、逃げ馬のメリットが、以下になります。
逃げ馬のメリット
①先頭を走っているため、好きな進路を選べる→最短距離を走ることができる
②前に馬がいないため、自分のペースで、加速、減速ができる。
→車を運転していても、前に車がいないと気が楽になりますよね!
③精神的にも気分よく走れるため、全能力を発揮しやすい。
①、②はなんとなくイメージがつきやすいと思います。ただ、現実には、③の精神面も大きな効果があると考えます。
少し話は逸れますが、トラックマンとして、トレセンでサラブレッドを見続けて感じたことは、「なぜこんなにも調教で動く馬が、レースで結果が出ないのか」という謎でした。
そういった馬が、実に多くいました。
その原因としては、「レースで力を発揮できない精神的な弱さがある」、という結論に行き着きました。シンプルに考えれば、調教は1~2頭、レースは10数頭で行われることが、背景にあると考えられます。
本題に戻ると、「逃げ」という戦法は、1頭でのびのび走っている状況のため、限りなく調教に近い状態、すなわち精神的に落ち着いて走れている、と言えます。
そのため、「逃げ」という戦法を取った馬は、かつてないパフォーマンスを発揮し、人気以上に激走するのでしょう!
もちろん馬の個性にも拠るのですが、僕がジョッキーなら、目先の勝利にこだわるなら「逃げ」の手を打ちまくると思います!笑
しかし現実には、逃げばかり打つ騎手はいません。
「逃げ」のデメリットは何か
①必ずしも毎回逃げられるとは限らない
→レースで先頭を走れるのは1頭だけ。逃げ馬が多数顔をそろえると、逃げを打てなくなる
②作戦の幅が狭まる
→逃げられなかった時に、全く力を発揮できなくなってしまうリスクがあります。また、逃げ以外の作戦が立てられないため、ペースや馬場によって、臨機応変に作戦を変えることができなくなります。
「逃げ」という戦法は、諸刃の剣と言えます。一度、逃げを覚えてしまうと、馬がそれ以外の戦法に対応できなくなってしまうリスクがあります。(人間も、一度楽を覚えてしまうと、なかなかそれ以外の環境に行きたくないですもんね笑)
多くのジョッキーが逃げを打ちたくない理由は、馬の将来を考えて、「逃げ以外の作戦でも対応できるような精神に育てたい・・・」という意図があるからだと考えられます。
かつてルメール騎手が、逃げに関してとてもわかりやすい表現をしています。2016年ネオリアリズムで札幌記念を逃げ切り、1.6倍のモーリスを封じ込めました。レース後の回顧で、逃げの戦法に関して、
「ジョーカーを使った」
と表現しました。ジョーカーとは、トランプで言えば、最強カードである一方で、「ババ」という最低カードにもなりうる二面性を持っています。まさに逃げ馬の本質を射た、素晴らしい表現だと思いました。
確かに、重賞未勝利だったネオリアリズムが、生涯GⅠ6勝を挙げるモーリスを破ることができたのは、「逃げ」の戦法に拠るところが大きかったと言えるでしょう。
詳しくは、治郎丸敬之さんの「馬券は語る」でも紹介されているので、ご参考までにぜひ。
トゥールエッフェルという馬も、非常にわかりやすい逃げ馬でした。
逃げた時は、⑤①②②①②⑫着
逃げられなかった時は【0・0・0・18】
それもほとんどが二桁着順。
逃げれば強い反面、自分の型にハマらないと全く力を発揮できない、という逃げ馬の宿命
を体現していた馬でした。
この特性を見極めて、「逃げられそう!」と思った時に馬券を勝負した思い出の馬でもあります(笑)
2勝を挙げることはできましたが、結局その後は活躍することができませんでした。「逃げ以外の戦法でも力を発揮できたら、もう少し活躍できたかも・・・」と考えることもできますよね。
つまり、馬にとっては、何でもかんでも逃げれば良い!というわけではないんですね。
まとめますと
「逃げ」は最強の戦法であるが、永続的に最強でいられるかはわからない
ファーストペンギンとも言えるかもしれません。群れの先頭を走るペンギンは、誰よりも多くの獲物を捕らえることができる一方で、海の中に潜むシャチやトドに襲われるリスクも負います。
馬にとっては、「逃げ」は一長一短な作戦
我々馬券ファンにとっては、「逃げ馬さえ買っていれば馬券は儲かる!」
これが競馬の難しいところです。笑
こういった背景を含めて、「どの馬が逃げるか!?」と予想する必要があります。
ちなみにですが、「前走逃げていた馬が、今回も逃げる確率高いから、儲かりそうじゃん!?」
という安易な発想をしたことがありますが、世の中そんなに甘くありません(泣)。
前走逃げた馬を買い続けた場合・・・
単勝回収値74%
複勝回収値71%
残念ながらこの作戦は通用しませんが、「逃げ馬を予想して馬券を買う」ということは、理論的には有効な予想法です。まずはこの本質を、今回お伝えできていれば幸いです!
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