今回は北海道の乗馬クラブ、早来エクワインファーム へ行ってきました!
千歳空港から車で20分、ノーザンホースパークから車で10分と、かなりアクセスも良い場所です!
・乗馬を始めてみたい
・乗馬の魅力って何?
・乗馬クラブにも違いはあるの?
・愛馬を預けたい
以上のことを、取材を通してまとめました!ビジターでも乗馬体験可能!(事前予約必要)
競馬だけでなく、馬が好きな方は、ぜひ最後までご覧ください。
乗馬歴20年超の森下さんにインタビュー
乗馬を20年以上続ける、森下さんにお話を聞きました。乗馬にとりつかれてしまった魅力に迫ります!
・乗馬に出会ったきっかけ
乗馬を始めたきっかけは何ですか?
大学の卒業旅行で、オーストラリアに行ったときに乗馬をしたんです。それがすごい楽しくて
一目惚れのような感じだったんですね!
そうです。就職して、スポーツクラブにも通っていたのですが、何か達成感がなくて・・・。代わりに乗馬を本格的に始めました。
乗馬の良いところはなんですか?
1つは、レッスンをしていただけるので、常に自分を磨いていけることですね。
「自分磨き」が好きな森下さん
向上心があるからこそですね!
もう1つは、「誰かと運動する」ということです。他のスポーツだと、友人と予定が合わなかったりすると、なかなかできませんが、乗馬の場合は、まず「馬と一緒に」運動することができます。
「馬」と一緒に運動できることが他のスポーツの違い
確かにそうですね!
あとは、目標を持って進むことができることです。競技会などがあるので、常に目標を持って、自分を高めていけるので、やめられないですね。気づけば20年以上も続けています(笑)。
20年以上続けてきた原動力は何ですか?
常に「自分が変わっていくこと」を感じられるスポーツだからです。
・乗馬ならではの魅力
他のスポーツの経験もあるのですか?
スキー、スノーボード、水泳、テニス、ゴルフ、卓球などもやってきました。ある程度できるようになると、進展を感じられなくなって、続けるモチベーションがなくなってしまいました。
体を動かすことが好きだという森下さん
乗馬は、「馬」という生き物がいるということも大きいですか?
馬によって自分を元気づけてもらって、馬によって自分を高めていけるところが魅力ですね
乗馬というと、馬の癒しを求めたりする趣味だと思っていましたが、森下さんの場合は、「うまくなりたい!」という向上心が強いんですね。
ここの乗馬クラブでは、梁川オーナーも競技会に積極的ですし、馬の体調管理もしっかりしてくださり、大会に出るとなると、サポートもしてくださるので、私には合っていますね。
乗馬クラブによっても、方針などは様々なんですね。
そうですね。実は私、乗馬クラブを掛け持ちで通ってもいるんです。
ここだけの話、乗馬クラブを掛け持ちしているんです
えー!初めて聞きました。乗馬自体高貴な娯楽だと思いますが、2つも通っていると、結構お金もかかるんじゃないですか?(笑)
かかりますが、ゴルフとかもお金がかかるのは同じですよね。
なるほど!ゴルフを始めるか、乗馬を始めるか、ですね(笑)
・乗馬で辛かったことは?
乗馬のなかで辛かったり、大変なことはなんですか?
やってもやってもうまくできない、という時や、競技に出ても失敗ばかりする時です。他のスポーツでいう、スランプと同じです。
できたら楽しいし、できないと悔しいんですね。一番辛かった時は、どう乗り越えたんですか?
めちゃくちゃ辛いと思ったことがないんです(笑)。とにかく(乗馬クラブに)行ってやるしかない!と
常に前を向いてきた森下さん
おー!それだけ楽しいんですね。
「馬が悪い」と思ったこともありますが、最終的には「自分の伝え方が何か悪いんだろうな」と思って、自分が変わるしかない、と思って乗り越えました。
本当に向上心が凄まじいんですね。
他のスポーツの時は、「これだけやって無理なら、もう無理だ」となったのですが、乗馬の場合は「これだけやったけど、まだやれることがある、伸びしろがある」と感じるんですよね。
森下さんの理想形が10点満点だとしたら、今は何点くらいのところにいるんですか?
4点ですかね。
20年やってもまだ6点分伸びしろがあるんですか!?
今乗っている馬も、7年乗ってきましたが、最初はもっと制御が大変で、どこかに連れていかれる、と思っていたくらいの馬ですし、もっと高い障害も一緒に飛べるようになりたいですね。
愛馬と一緒に障害飛越をする森下さん
具体的な目標はありますか?
今は110センチを飛んでいるのですが、120~130センチくらいまで飛べるようになりたいです。
体が元気なうちは、ずっと乗り続けるんですね。
馬術はオリンピックとかを見ていても、トップライダーたちも、50~60代だったり、女性の方もいますからね。そういうのを見ていると勇気づけられますよね。
そこも乗馬の魅力ですね。
年齢だけの体力勝負ではなく、私みたいに社会人になってから始めても、それなりに上達できるので、夢がありますよね。
森下さんは、ご自分の馬をお持ちなんですね。持ちたい!と思った理由は何ですか?
競技会に出ることを考えると、専用の馬を持ちたいというのもありましたし、能力がある馬が欲しかったんです。やはり馬によって、できるできない、がありますので。
それなりに乗馬を極めたい!という覚悟があるからこそですね。
スキーとかも同じですが、「道具を自分で揃えたい!」という感覚です。
なるほど!
はじめの頃はレンタルの道具を使って始めますが、目標などができると、自分の物を持ちたい!というのと似ていると思います。
愛馬と森下さん
森下さんから見て、乗馬にはどんな人がオススメですか?
サーフィンとかやっている方は良いのではないでしょうか。バランスのスポーツですので、スキーやスノーボードなどにも近いと思います。
「体幹」が確かにどれも大事ですね!
でも、乗馬は誰でもオススメですよ。誰でも始められますから。
ホットチョコレート号と森下さんの挑戦は続く
まとめ
乗馬は、何歳からでも始めることができて、そして上達することができるスポーツなのだと知りました。競技会などもあることで、具体的な目標を持って挑めることも良いですね!競馬の障害レースでも、オジュウチョウサンが11歳となっても、GⅠ制覇を成し遂げたように、馬も人も、「年齢」の壁に阻まれることなく、積み上げてきた「経験」が生きるのが、馬術の世界なんですね!
11歳でGⅠ制覇したオジュウチョウサン
乗馬クラブ社長の梁川さんにインタビュー
乗馬クラブ「エクワインファーム」を運営する梁川社長にお話を伺いました!
乗馬クラブを開いたきっかけは何ですか?もともとは乗馬クラブで務めていらしたそうですね。
競技会に出ていて、単純にその競技会で勝ちたかったんですよね。馬はアスリートのような感じなので、いろんな餌を与えたり、こういう装蹄がしたい、という理想の形が、乗馬クラブに務めている時にはできませんでした。
理想の馬作りを求める梁川さん
自分で「理想の馬作り」をしよう、となったんですね。30歳にして乗馬クラブを設立されたんですね。
そうです。たまたま友人が養老牧場をしていたり、その他にも牧場の方々に助けていただいて、はじめは2頭から始めました。
乗馬クラブのオーナーさんは、梁川さんのような志向でクラブを立ち上げる方が多いんですか?
馬が好きで「乗馬を広めたい」という方もいると思いますし、うちもそうなのですが、「競走馬が第二の人生を歩めるようにしたい」、という方もいると思います。
では梁川さんのような方は珍しいんですね。
僕は「競技で勝つ」ために始めたので、ちょっと珍しいかもしれませんね。
飛越練習の様子
・エクワインファームの魅力
エクワインファームならではの魅力を教えてください。
「馬作り」に関して、スタッフ、会員さんがみな同じ方向を向いていることです。宣伝などもしていませんので、僕の目指していることなどを理解して、人が集まっています。
多くの入賞バッジが飾られていました
みなさん一体感がありますし、明るくてすごい仲が良さそうですよね!僕にも気さくに話しかけてくださって。
誰がスタッフかわからなかったんじゃないですか!?(笑)それくらいみなさん仲が良いですね。
笑顔が溢れるエクワインファーム
こちらでは、乗馬以外の預託も行っているんですね
競走馬を引退して、乗馬になるためにリトレーニングをしに来る馬もいますし、たまに現役の馬も来ますよ。
現役の競走馬ですか!!?
ちょっと腰が緩い馬などを、調教師の方から預かったりしています。基礎体力作りや、コントロールをしやすくするようなトレーニングなどをしています。
騎乗する梁川さん
現役の馬が乗馬クラブに来るとは知りませんでした!現役を引退した競走馬も預けることができるのですか?
預かっています。引退して、乗馬として乗ることがない、という場合でも、しっかり体調管理をして、余生を過ごしてもらっています。種牡馬を引退した馬も以前いましたよ。有名なダートの・・・
えー!なんですかなんですか!すごい気になります!(笑)
プリサイスエンド!気が悪いと聞いていましたが、晩年はもうそんなこともなかったですよ。
僕はプリサイスエンドの後継種牡馬グロリアスノアをめっちゃ応援しているので、すごい運命を感じます!(笑)
プリサイスエンドの後継種牡馬グロリアスノア
・梁川さんの目標
梁川さんの今後の目標はなんですか?
やはり、全日本障害馬術大会で優勝することです。
競馬のレースで例えるなら、ダービーでしょうか?
目標は・・・
みんなが目指すところ、という意味ではそうかもしれません。馬乗りとしては、みな目指しているところですね。
乗馬の世界は、キャリアを重ねるほど、優勝できる確率も上がったりするのですか?
そうですね。力だけではない競技なので、経験が生きますね。
馬にも年齢は関係あるんですか?
馬の年齢は、10~14歳くらいが一番良い時期とされています。競馬よりは、長い間活躍できるので、馬自身にも多くのチャンスがあります。
クラブとしての目標はありますか?
設備投資をしたいです。だんだんと増えてはいっているのですが、例えば、まだウォーキングマシンがないんですよね。高価なものなのですが、ゆくゆくは欲しいと思っています。やっと屋根付きの追い馬場も完成して、雪の多い冬でも安定して同じトレーニングができるようにはなってきていますが、今後もより強化していきたいですね。
綺麗な場内設備
やはり根本は、「良い馬を作りたい」というところにつながってくるんですね。
確かにそうですね!(笑)
全ては「強い馬を作りたい!」という目標に
・「馬の幸せ」とは
知り合いで乗馬をしている人もいるのですが、梁川さんほどの「野心」を持って乗られている方には初めて会いました。
そうかもしれません(笑)。うちは珍しいですよ。普通は、癒しを求めて乗られる方が多いですからね。
乗馬=癒しの趣味、として乗られているイメージでした!
うちの会員さんも、みんな趣味ではあるのですが、何か目標を持って一緒に頑張りましょう!と言っています。「馬が可愛い」と言うだけでは、「本当に馬が幸せなのかな?」と考えました。
「馬の幸せ」について考える梁川さん
梁川さんが考える、「馬の幸せ」は何ですか?
いろんな考えがありますし、人間でもいろんな幸せがあると思いますが、僕は、ただぼーっとしてご飯を食べるだけの生き方は、好きではないんですよね。
何かタスクがあった方が燃える、ということですね!
そうです!その美味しいご飯を食べるために、何かを頑張りたいんです。だから馬にも何か役割を求めて、人馬ともに互いに達成感を得ることが幸せなのかな、と思っています。大変なことがあるからこそ、逆に嬉しいこともあると思うんですよね。だからやっぱりうちは特殊だと思います(笑)。
人としてもストイックですごいと思います!
なので会員さんにも、うちはマンツーマンで指導して、本当に上達したいとかレベルアップしたい方が集まっています。
梁川さんによるマンツーマン指導
こちらでは養老牧場として、余生を過ごしている馬もいるんですよね。
今は3頭います。でも、ただ放牧しているのではなく、良い餌を与えて、良い体調を保つことを心がけています。
余生を送る馬を預託することも可能
もう競馬で走ることがないのにですか?
馬が元気な方が、周りの人も元気になると思うんです。それに、これまで手をかけてきたのに、いきなり手をかけない、ということは僕はできないので、「馬に元気で過ごしてもらいたい」という方がうちに預けにきていただいています。
馬の体調管理にもこだわり
乗用馬と同じように、このクラブのコンセプトが養老馬にも施されているんですね!馬主さんが、現役を引退した愛馬を預けることもできるのですか?
預かっています。乗馬として乗ることもないけど、養老として預かってほしい、というオーナーさんもいらっしゃいます。
・馬術界から見る小牧加矢太騎手
馬術の選手として活躍された小牧加矢太さんの、騎手としてのデビューはどう見られていますか?
障害騎手としてのデビューって初めてですよね?
前代未聞ですね!プロ野球の大谷選手の二刀流ではないですが、前例がないからこそ、どうなるのか。馬術界の立場からはどう映るのか気になりまして。
僕なんかよりも断然上手いので、何か言える立場ではないのですが、、すごい楽しみですね。
競馬は、乗馬と違って、速く走ることが求められます。それはやはり難しいことなのでしょうか?
競馬の障害レース
乗馬も実は、ある程度、馬に「行く気」がないとダメなんです。競馬でも「手の内に入れる」と言うと思いますが、手の内に入れすぎると、言うことは聞いてくれるのですが、そのぶん完璧に乗らないとダメなんです。
手の内に収まり切らないくらい、馬にも前向きさがあった方がいいわけですね!
小牧加矢太さんは、全日本障害飛越選手権を優勝していますが、その大会は、3日間競技があるんですよ。つまり体力がいるんです。馬をコントロールしすぎてしまうと、最後にバテてしまったりするんです。なので馬が強く強く、自分から走っていくようにしてあげる技術が必要になってきます。その点は競馬とも、すごい似ていると思います。全日本などのトップクラスになると、そうした技術を求められるので、そこで優勝している加矢太騎手の活躍は本当に楽しみです。
加矢太騎手が前例を作ったことで、今後も乗馬界から競馬界に進む人は出るのでしょうか?梁川さんは、騎手デビューは考えませんでしたか?(笑)
騎手となると、年齢や体重制限がありますから、そう簡単ではないかもしれません。
確かにそれはそうでした!
加矢太騎手の場合は、お父さんが騎手だった影響もあったんでしょうね。でも加矢太騎手は、乗馬の世界でも十分やっていけたと思うのですが、それを辞めて競走馬の世界に行くっていうのは、すごい覚悟だと思います。
小牧加矢太騎手の父、小牧太騎手
僕は競馬の障害レースも好きなので、加矢太騎手の馬作りに注目して、もっと楽しもうと思います!本日は貴重なお話ありがとうございました!
まとめ
初めて訪れた乗馬クラブでしたが、スタッフさん、会員さん、みな明るくて、本当に居心地が良い場所でした!乗馬=癒しの娯楽、というイメージが強かったですが、こちらでは、マンツーマンでレッスンもされており、「こんな丁寧に、本気なのか!」と、良い意味で驚きました。「馬の体調管理をしっかりして、馬が元気だったら人も元気になる」という言葉通り、ここにいる人も馬も、本当に楽しそうでした。正直、乗馬を始めるならここで教わりたい、と思いました。現在はキャンピングカーで旅暮らしですが、定住するなら北海道になるかもしれません。(笑)
「乗馬をうまくなりたい!」という方や、「愛馬に元気よく過ごしてほしい」といったオーナーさんには特にオススメの乗馬クラブだと感じました!
・エクワインファームにいる元競走馬たち
競馬界を盛り上げた馬たちに会うこともできました!!
スティッフェリオ
すでに入賞もしているそうです!
ダノンムーン(兄はダービー馬エイシンフラッシュ)
セイクリムズン
ケイアイライジン
・おまけ~馬運車~
競技会では、こちらの馬運車で移動するそうです!
中を見られる機会は少ないので、乗せていただきました!
新車で買うと5000万円近くするそうです…!!
最大で6頭乗せられます!
カメラで馬の様子も確認できるようになっています。
クーラー完備!(もちろん馬用)
運転席はこんな感じ
運転席横にはスイッチがたくさん!
運転席の後ろは、広いスペースがあります。
運転席側から見た景色。2階部分がベッドになっています!
シングルサイズのベッドを完備!キャンピングカー的な視点で見てしまいます!(笑)
取材にご協力いただいた梁川さん、森下さん、エクワインファームの皆様、ありがとうございました!
この記事を読んで、少しでも馬、乗馬、競馬に興味を持っていただける方がいれば幸いです!!